始めに。
主人公の名前はレイルという名前です。
巷では、エイト君が多いのですが、DQシリーズ一貫してこの名前でやってるので。
かなり妄想ゼシカですが、お許しを。



〜MYSELF〜

この気持ちをなんと呼ぶのだろう。
この胸にある思いは何なのだろうか。
私は、自分に問いかける。

答えはほんとはわかってるんだ。

その言葉を紡ぎ出せないで居るのは、あのコのがいるから?
違う・・・・。

怖いんだ。

彼にこの想いを告げてしまって、いまの関係が壊れることが。
レイルは、私を大事な仲間とは見てくれている。
それでも十分満ち足りている。
でも、彼を独占したいという欲望も存在してる。
それは、私の我侭なんだろうか。
レイルは、私の事を女としてみてくれているか分からない。


ねえ、レイル。私のこと、どう思ってる?

「聞けたら簡単なのにね。」
そう呟くと、思考の海から抜け出すように私は目を開けた。
馬車が小刻みに揺れている。
まだ移動中のようだ。外から日の光が差し込んでいる。
視線の先には、投げ出した足が見える。
どうやら、夢うつつだったようだ。
もたれかかっていた、錬金釜から体をおこす。
「ごめんなさい。寝てたみたい。」
私は御者席にいるトロデ王に声をかける。
「かまわんぞい。この辺は魔物も少ないようじゃ。」
陽気な声がかえってくる。
蹄の音と、馬車の車輪が回る音だけが響く。
なんだか、静寂に居たたまれなくなって、伸びをする。
そんなに寝た覚えもないし、まどろんでいただけなのに体の節々が硬くなっている。
移動が長くなると、自分では大丈夫だと言うのだが、レイルやククールは休むように言ってくる。
一応、こういうところは女としてもみてもらってるんだが、この馬車を引いてるのが、ミーティア姫ってのも気が引ける。
正体は可憐な姫君。
まさに、ピアノとか、詩集とかそういうのがピッタリ似合ってる女の子なのだ。
スタイルなら、全然負けてないんだけど、ああいう気品とか、清楚というオーラは私にはない。
あの泉で、レイルに話しかけるミーティア姫からは、幼馴染以上の何かを感じる。
少なくとも、女のカンとかじゃなくて、そういう空気を感じる。
簡単に言えば、ミーティア姫は、レイルの事が好きなんだ。

そう、好きなんだ。

長い時間ミーティア姫に、会った訳じゃないから彼女がどういう性格なのかは、分かってる訳じゃない。
少なくとも、レイルに話しかけてるあの笑顔は、好きな異性に見せる愛しい笑み。

あんなに素直に自分を出せたら・・・・。
少しだけミーティア姫がうらやましく思う。

でも、彼女は、本来の姿で、自分の言葉で語れるわずかな時間だからこそ、自分に素直にいられるのではないだろうか。

その気になれば、四六時中レイルに傍に居て、言葉を交わせる私の方が、今の彼女より幸せなのかもしれない。
「でも、全然傍にいたりしてないけどね・・・。」
馬車の荷台から身を出し空を眺める。
青い空が果てしなく広がっている。








見たす限りの世界がある。










私は悩んでる事が可笑しく思えた。
そうだ、こんなに悩むのは自分らしくない。
いつも、考えるより行動してきたじゃないか。
自分に言い聞かす。
そうして、私はレイル達にも会えたんじゃないか。
後悔はしたくない。
前を見て、自分の信じる道を歩けばいいんだ。

そんな私の姿をみたからだろうか、馬車の後ろを歩くレイルが、
「ゼシカ、どうしたの?」
優しい声が耳に届く。
私は、レイルの方に優しく微笑んで。
「なんでもないわ。レイル。」
そう答えた。
「もうすぐ、次の街に着きそうなんだ。今日は宿で寝れそうだよ。」
バンダナに触れながらレイルは笑った。
そうなのだ。
もう2日も野営してるのだ。
トロデ王がこっちの方が近道だと言い張って、山道を歩いたんだが、結局大ハズレ。
引き返し、大回りする羽目になった訳。
「やれやれ。ようやくやわらかいベットで寝れるんだな。」
馬車の横についている、ククールが心底安心した声をだす。
「アッシは、外で寝てても全然大丈夫でヤスが。」
とは、前を歩くヤンガス。
みんなどことなく安心した声になっている。
「すみません、トロデ王。いつも野営ばかりなのに。」
レイルは、頭を下げると、心底すまなさそうな声をだした。
「気にせんで、よいぞい。わしはミーティアと野営もなれたからのう。」
いや、その声は絶対気にしてる。
ほら、もう、ますますレイルが気まずい顔になってるじゃない。
みんなの中に気まずい空気がながれだす。
折角街がもうすぐだというのに。
仕方ない、私が助け舟を出すか。
ちょっとは感謝しないさいよ。レイル。
なんて、思いながら。
「トロデ王、宿で美味しい物貰ってきてあげるから、期待しといて。」
私はできるだけ、優しい声で声をかけた。
「そ、それはまことか!?ゼシカ、さすが我が家臣!!」
返ってくるのは、トロデ王の上ずった声。
いや、あの私は家臣になった覚えはないんだけどなぁ。
「!! ・・・・さて、話はその辺で敵だ!」
ククールの締まった声。
私もあわてて、馬車から飛び降りた。しかし、足を踏み外し、バランスを崩す。
横倒しのまま体が宙を舞う。レイルが手を出し、私を受け止める。
たくましい腕に吸い込まれる。
「ありがとう。」
こら、照れるな私!!
と、とりあえず、顔が赤くならなかっただけよしとしよう。
「い、いや、ゼシカに怪我が無くてよかったよ。」
レイルの顔が赤い。あ、胸にレイルの手が・・・・・。
私は、飛び出すようにレイルから離れた。
「ゼシカ!よけろ!!」
誰かの叫び声。



え!?




目の前に迫りくる大きな塊。
キングスライムだ。
無理!かわせない!!

視界いっぱいに広がる青い物体。
あたしの視界は暗転した・・・・・・・・・・。
























「目が覚めた?」
ぼんやりとした視界に見慣れた声と顔がある。
ああ、レイルだ。
私生きてるんだ。
ベットに寝てる私を、椅子に座り心配そうに覗き込むレイルに。
「私、どうしたの?キングスライムに押しつぶされて・・・・。」
そこから先の記憶がない。
「気を失ってたんだよ。ここは宿屋で僕が看病してた訳。」
はにかむように笑顔でレイルが私をみた。
「もう、夜なんでお腹すいたよね。何か宿の人に言って食べ物もたってくるよ。」
そう言って、席を立とうとする。
「待って。」
そう言うと、私はレイルの手を掴んでいた。
「もう少し、もう少しだけ一緒にいて。」
精一杯の我侭。
今はレイルと一緒に居たい。
傍にいたい、話をしたい。触れたい。
顔が熱い。
多分私は顔を赤くしてるだろう。
「うん。わかった。ゼシカがそういうんなら。」
レイルも少し顔が赤い。
椅子を空いてる手で引き寄せると、レイルは私の手を握ったまま腰掛けた。
一瞬だけ、手を離そうか躊躇したレイルに、
「レイルの手、暖かいね。」
そう言って私は力を込めた。
「剣ばかり振るってきたから豆ばかりで堅いだけの手だよ。」
レイルは照れたように、バンダナに触れる。
どうも、レイルはバンダナに触れるのは癖みたいだ。
悪くはないよ。その癖も。
そう素直に言えたらいいのに。
私のバカ・・・・。
いつも、タイミングを逃してる。

「そんなことないよ。私はこの手に助けてもらってるんだから。」
一生懸命紡いだ正直な想い。
いつも言いたかった感謝の想い。
ひとつだけ伝えれた。
「僕だって、ゼシカの魔法に助けて貰ってるよ。
それだけじゃない、いつもゼシカの笑顔に元気貰ってるんだ。」
私を溶かす、優しい声。
胸の奥から湧き上がってくる。
私はレイルが好きって気持ちが。
「レイル。」
か細い私の声。
「な、なに?」
私の緊張が伝わったんだろうか。
レイルの声も上ずってる。
私はレイルを見つめると、握ってる手にチカラをコメル。
「私、す、す、・・・・・・・・・スパゲティが食べたい!!」
あーーーーーーーーー私の根性無し!!
最低・・・・・・・・・・・。
「わ、わかった。じゃあ宿の人に頼んでくるよ。」
すごい速さでレイルは私から離れると、突き破らんという勢いでドアの向こうに消えた。
「はぁ。立ち直れないかも。」
顔を枕にうずめる。
しばらく顔あわせられないかも。
でも、スパゲティもってレイル帰ってくるのよね。
どんな顔で迎えてればいいのよ!
とりあえず、なにもなかったように笑顔でかしら。
戻ってきた時に不意打ちで、
「好きよ、レイル。」
とかかしら。

まあ、なるようになれだわ!

最後の最後で開きなおるゼシカだった。
















そのころドアの向こうでは。

心臓の高鳴りが収まらない。
可憐で、絢爛な少女が自分の手を握って必死に何かを訴えていた。
「好きとか言われるんじゃないかと思った。」
小さく呟く。
多分そんな事言われたら、その場で押し倒してたかもしれない。
心惹かれてる女性に好きと言われて黙ってる男はいない。
まずいぞ。
僕は今からスパゲティをもって再びこの部屋にもどってこなければならない。

いつからだろう。ゼシカのことを思うようになっていたのは。
あのスタイルだ、女性として意識しない方が無理という話だ。
一緒に旅をして、いつのまにか旅の仲間以上の感情が胸にあった。
姫と王を元の姿に戻す。
それが大事な使命。
だから自分の事は二の次だ。
そう、押さえ込んでいた。
ダメかもしれない。

こんなときにはっきり自覚するなんて。
僕はゼシカが好きなんだ。

とりあえず厨房に向かおう。
それからだ。
何食わぬ顔で、スパゲティをもって現れようか。
「ゼシカ、実は僕は君の事が好きだったんだ。」
出し抜けに言うか。
断られてもギャグですむ。


だめだ、なるようになれだ。
断られるとか考えるな。
振られてもいいじゃないか、自分を偽るよりよっぽどいい。



レイルは、一呼吸いれると、階段をおり始めた。








「レイル。」
「ゼシカ。」






「僕は」
「私は」





「「あなたが好きです」」








Fin










作者ざんげ部屋。

落ちは考えて書きましょう<自分
妄想爆裂で書き上げました。

見渡すかぎりの世界がある。

このDQ8のフレーズを入れつつ主ゼシを書いてたんですが。
最初書こうとしたものとどんどんかけ離れていきますた(笑)

ゼシカはもっと、割り切ろうという考え方をさせたかったんですが、
素直になりきれなくて、でも煮え切らない方がそれらしいのかなぁ。
とも考えてかきました。
構成力がまだまだ伴ってませんので読みにくいと思いますが暖かい目でみてください。
次回作も構想中です・・・・・・。


管理人コメント欄
ご投稿どうもありがとうございました。 
DQ8のフレーズの入れ方、見事ですっ! おおっと唸ってしまいました!
全然読みにくくないですよ。一気に読めました。時折ギャグが混ざっていて面白かったです。






アクセス解析 SEO/SEO対策