空を見上げて



「もうすぐ満月か・・・」

グランバニアの最上階にある見張り台で子を宿しているビアンカは椅子に座りながら月を眺めていた。
「きっとあなたが帰ってくる頃には満月になっているでしょうね」
そう呟きながら自分のお腹をさすった。
「あなたも父さんに早く帰ってきて欲しいわよね?」


あなたがないと寂しいよ。 
でも、あなたが帰ってきたら私は王妃になるんだよね・・・。

王妃になる戸惑いがないって言えば嘘になるけど、あなたが出発する前に言ってくれた言葉でわたしはとても楽になった。

ビアンカはいつでもビアンカだからねって
ビアンカはビアンカのままでいて欲しいって
そう言ってくれたね。

その時、私は改めて実感した。
私はあなたに愛されているって


あなたに愛されてから
あなたを愛してから眺める空はとても温かく感じる。
今眺めている夜空も温かくて、とても綺麗で

そんな夜空に私は祈る。

無事にあなたが帰ってきて
元気な赤ん坊が生まれますようにって

きっとお腹の子もあなたの帰りを心待ちにしているはず。

みんなあなたのことが好きなの
私も、お腹の子も、グランバニアの民も

みんなみんなあなたのことが
純粋な心をもつあなたのことが
大好きなのよ。

そんなあなたに愛されて私は幸せだよ。

あなたを愛して溢れた想い。
それをあなたは優しく受け止めてくれた。



ずっと探していた・・・。
もう見つからないかもしれないと思った。
でも、見つけたよ。

ほら、今夜も綺麗な星空
あなたも今、この星空を眺めているんだろうね。
この空で私たちは繋がっている。



あなたに愛されてから
見上げた空はいつも温かくて
太陽はとても眩しくて
まるで私たちを祝福してくれているかのように

もうすぐもっと幸せになれるはずだよ

もうすぐ、もうすぐでもっと幸せに・・・。










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