愛しき横顔



さわやかな風が、色とりどりの草花を揺らし、あたり一帯に花の香りが漂う
高く澄み切った空には小鳥たちが可愛らしく鳴きを交わしている。

ポカポカ陽気の中リベルたち家族は、ミルドラース討伐前に子供達と約束したピクニックに来ていた。
草花の香りを楽しみながらリベル達家族は、久々の休暇を過ごしていた。
あの約束を果たすのになかなか休暇がとれず、時間がかかってしまったが……



フローラはあまり料理を作ったことが無かったが、この日のために前から料理を作る練習をしていたようで、彼女のお弁当は頬が落ちるほど美味しかった。
たまにグランバニアでリベルに試食を頼んできたこともあった。その時の料理も美味しかった。
子供達の食欲は旺盛で、そしてその弁当が美味しいことも手伝って、お弁当はあっという間になくなってしまった。

弁当を食べ終わると子供達はすぐに遠くへ遊びに行ってしまった。
なので、今はリベルとフローラ二人きりである。

久しぶりに二人きりになったリベルとフローラ
二人は肩を抱き合って座っている。
傍から見るとまだ若いカップルである。

傍にいるだけで幸せを感じるリベル。
そして遠くを眺めながら物思いにふけるフローラ。

こうして二人っきりになるのは何年ぶりかしら……
今までいろいろなことがあったから……
この人と過ごした時間はとても短いけど
あなたの魅力にどんどんと惹かれていく
一緒にいるだけで幸だと感じる
私は幸せ者だわ…



リベルから見た彼女の横顔は筆舌に尽くしがたいほど美しい。
彼女を見つめ少し鼓動が早くなるリベル
そして、彼女の名前をそっと囁いた。

風と共に消えてしまいそうなほどの声
しかし、彼女は微笑んだ。
その微笑みもまた美しい。
「どうしたんだい? そんなに遠くを見つめて」
フローラは少し頬を染めた。
頬を染めた彼女もまた美しい。
「あら……見られていたのですか」
「うん とても綺麗だったよ」
リベルの言葉にまた一段と頬が紅くなる。
「私、幸せだなと思って……
 愛する人と可愛い子供に囲まれて 温かい家族に囲まれて
 そしてお城の皆さんもとっても親切で 
 もう、私は何もいらないくらい幸せですわ 
 これ以上望んでは罰があたるかも知れませんわね。ふふふ」
今度は子供のように無邪気に笑った。

ああ……フローラ……

そんな彼女が可愛くてリベルはフローラを草原に押し倒した。
「愛してる フローラ」
微かに抵抗するフローラ
「ダメですわ あなた 子供達が帰ってきます」
「大丈夫だ あの子達はまだまだ帰ってこないよ」
そう言ってから唇を合わせた。
長くて濃厚なキス

フローラの抵抗が無くなった。
頬を紅く染めてリベルと、そして蒼い空をぼんやりと見つめていた。
リベルの手がフローラの膨らみにそっと重なる――

僕は君以外愛せない

不器用な僕だけど
思いを伝えるのが下手な僕だけど

君を愛してるってことはちゃんと伝えたい

君を抱きしめたい
この腕から離したくない
君を近くで感じたい
君は永遠に僕のもの……

疲れた僕に君はいつも微笑んでくれるね
その微笑が綺麗で疲れてることなんて忘れてしまうよ

君の傍にいたいんだ

君の優しさにずっと触れていたい




フローラはリュカにプローポーズされた日のことをぼんやりと思い出していた。


フローラは自分が選ばれるとは思っていなかった。
リベルは美しい金色の髪を持つ、ビアンカを選ぶと思っていたのだった。

あの日、フローラと思いとは裏腹にリベルがフローラの前に立ち、プロポーズの言葉を捧げた。


“あなたの人生を僕にください”


その言葉に感激のあまりフローラの瞳から涙がこぼれた。

そして唇を震わせて掠れた声で答えた。

ありがとうございます こんな私の人生でよければ喜んであなたに人生を捧げます


あなたに捧げた人生

間違っていなかった
私の人生はとても素晴らしい

何もいらないくらい
愛で満たされています



素敵なあなたに私は守られることしか出来ないですが
こんな私でもあなたが望むなら
私はずっとあなたのお傍にいます
ずっとずっといつまでも
私はあなたのもの
そして私もあなたのお傍にいたい
愛しい人が傍にいてくれるから
私はずっと幸せでいられる

幸せよ永遠に……



As long as we love each other, we don't need anything eles







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